プログラミング必修化に備える小学生へ Scratchオンライン教材を比較 創造力を育む選び方

2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化され、子どもたちの学習環境は大きく変化しています。さらに、中学校、高校と段階的に必修化が進み、2025年には大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が導入されるなど、プログラミングや情報科学の知識・スキルは、これからの時代を生きる子どもたちにとって必須のものとなりつつあります。
「プログラミング」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、小学校で求められているのは、特定のプログラミング言語を習得することだけではありません。文部科学省が掲げる目標は、「プログラミング的思考」を育むこと。これは、物事を順序立てて考え、試行錯誤しながら問題解決に取り組む力です。この力は、プログラミングだけでなく、あらゆる学習や日常生活、そして将来の仕事においても非常に重要になります。
学校の授業だけでは物足りない、もっと深く学びたい、自宅で自分のペースで学習を進めたいと考える保護者の方にとって、オンラインプログラミング教室は非常に魅力的な選択肢です。特に、小学生向けの入門教材として世界中で広く使われている「Scratch(スクラッチ)」を学べるオンライン教材や教室は数多く存在します。
この記事では、プログラミング必修化に備えたい小学生とその保護者の方に向けて、Scratchを使ったオンライン学習のメリット、教材・教室の選び方、そしておすすめのオンラインScratch教材・教室を詳しく比較してご紹介します。お子さんにぴったりの学習方法を見つけるための参考にしてください。
Scratchとは?なぜ小学生におすすめなのか
Scratchは、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが開発した、子ども向けのビジュアルプログラミング言語です。文字でコードを書く代わりに、色とりどりの「ブロック」をドラッグ&ドロップで組み合わせてプログラムを作成します。この直感的な操作性が、プログラミング初心者やまだタイピングに慣れていない小学生でも、視覚的に分かりやすくプログラミングの仕組みを理解できる大きな理由です。

Scratchを使うことで、子どもたちは以下のような様々なものを作ることができます。
- オリジナルのゲーム
- アニメーション
- インタラクティブな物語
- 音楽やアート作品
Scratchが小学生におすすめされる理由はいくつかあります。
- 視覚的で分かりやすい: ブロックを組み合わせるだけでプログラムが動くため、抽象的なコードを理解する必要がなく、プログラミングの楽しさをすぐに体験できます。
- 無料で利用可能: Scratchは公式サイト上で誰でも無料で利用できます。気軽に始められるため、プログラミングに触れる最初のステップとして最適です。
- 創造力を育む: 自由にアイデアを形にできるため、子どもたちの創造性や表現力を引き出します。
- 論理的思考力が身につく: プログラムを組む過程で、どうすればキャラクターが思い通りに動くか、どうすればゲームが成立するかなどを順序立てて考える習慣が自然と身につきます。
- 問題解決能力が向上する: プログラムがうまく動かないときに、どこに間違いがあるのかを探し、修正するという試行錯誤(トライ&エラー)を繰り返すことで、問題解決能力が養われます。
- 小学校の授業でも使われている: 多くの小学校でプログラミング教育の教材としてScratchが採用されており、学校での学習内容を家庭で深めることにも繋がります。
Scratchは、まさに「遊びながら学ぶ」を実践できる理想的な教材と言えるでしょう。
子ども向けオンラインScratch教材・教室の選び方
Scratchを学べるオンライン教材や教室は数多く存在するため、どれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。お子さんに最適な学習環境を見つけるためには、いくつかのポイントを考慮することが重要です。
1. 子どもの興味・目的に合うか
一口にScratchと言っても、教室や教材によって学習内容は異なります。ゲーム制作に特化しているのか、アニメーションや物語作りも重視しているのか、あるいはScratchで基礎を学んだ後にテキストプログラミングやロボットにステップアップできるコースがあるのかなど、内容は様々です。
- お子さんがゲームが好きなら、ゲーム制作に力を入れている教室。
- 物語を考えたり絵を描いたりするのが好きなら、アニメーションやインタラクティブコンテンツ制作も学べる教室。
- 将来的に本格的なプログラマーを目指したいなら、ScratchからPythonやJavaScriptなどのテキスト言語にスムーズに移行できるカリキュラムがある教室。
など、お子さんの「好き」や「やってみたい」という気持ちを大切に、興味を引く内容の教材・教室を選びましょう。
2. 学習スタイル(動画教材 vs リアルタイム授業)
オンライン学習には、主に動画教材を使ったオンデマンド形式と、講師とリアルタイムでやり取りする形式があります。
- 動画教材: 自分のペースで好きな時間に学習を進められます。繰り返し見返せる、月額料金が比較的安いといったメリットがあります。ただし、自分で計画的に学習を進める力が必要で、その場ですぐに質問できないというデメリットもあります。
- リアルタイム授業: 講師や他の生徒とコミュニケーションを取りながら学習できます。分からないことをすぐに質問できる、他の生徒から刺激を受けられるといったメリットがあります。決まった時間に受講する必要がある、料金が動画教材より高めになる傾向があるといったデメリットがあります。
お子さんの性格や学習習慣、保護者のサポート体制などを考慮して、どちらのスタイルが合うか検討しましょう。リアルタイム授業でも、マンツーマン指導か少人数制かによって雰囲気やサポートの手厚さが異なります。
3. 料金と継続性
オンラインプログラミング学習は継続することが重要です。無理なく続けられる料金体系かを確認しましょう。月額料金だけでなく、入会金、教材費、年会費などがかかる場合もあります。長期的にかかる費用を把握し、家計への負担を考慮して選びましょう。
4. 対象年齢
教室や教材によって対象年齢が異なります。お子さんの年齢に合ったレベルの教材を選ぶことが、学習への意欲を維持するために大切です。簡単すぎると飽きてしまい、難しすぎると挫折の原因になります。多くのScratch教材は小学校低学年から利用可能ですが、高学年向けにはより発展的な内容や、Scratchから次のステップに進むコースが用意されています。
5. 教材や講師の質、サポート体制
教材の分かりやすさや、講師の教え方、子どもとの相性は学習効果に大きく影響します。公式サイトの情報だけでなく、口コミや評判を参考にしたり、可能であれば体験授業に参加して実際の雰囲気を確認したりすることが重要です。
また、オンライン学習では、学習中の疑問点やトラブル(パソコンの設定など)が発生した場合のサポート体制も確認しておきましょう。質問しやすい環境か、保護者への進捗報告があるかなども安心材料になります。
6. 無料体験の活用
多くのオンラインプログラミング教室では無料体験や無料トライアル期間を設けています。実際に体験してみることで、教材のレベル、授業の雰囲気、講師との相性、必要なパソコン環境などを確認できます。複数の教室を体験して比較検討することをおすすめします。
おすすめのオンラインScratch教材・教室を比較
ここでは、Scratchを学べるおすすめのオンライン教材・教室をいくつかご紹介します。それぞれの特徴を比較して、お子さんに合いそうなものを見つけてみてください。
QUREO(キュレオ)プログラミング教室
- 特徴: 大手IT企業サイバーエージェントが監修。ゲーム感覚で楽しく学べる動画教材が中心。Scratchで基礎を固めた後、本格的なテキストプログラミング(JavaScript)へステップアップできるカリキュラムが特徴。全国の提携塾で対面またはオンラインで受講可能。
- 対象年齢: 小2〜高3
- 学習形式: 動画教材中心(教室によるサポートあり)、対面/オンライン
- 料金: 月額1,250円~(オンライン学習のみの場合、教室によって異なる)
- Scratch以外: JavaScriptなど
- ポイント: 段階的に学べるカリキュラムと、ゲーム性の高い教材で飽きさせない工夫がされています。自宅学習用の教材も提供されるため、教室以外でも学習を進められます。
デジタネ
- 特徴: マインクラフトやロブロックス、ディズニーなど、子どもに人気のコンテンツを使ってプログラミングを学べるサブスク型オンラインコース。100以上の動画コンテンツが見放題。
- 対象年齢: 小1〜中3(推奨)
- 学習形式: 動画教材中心、オンライン
- 料金: 月額3,980円~(年間プラン)
- Scratch以外: マインクラフト、ロブロックス、JavaScript、HTML/CSSなど
- ポイント: 月額定額で様々なコンテンツを好きなだけ学べる点が魅力。ゲーム感覚で楽しく始めたい子、自分のペースで進めたい子におすすめ。14日間の無料トライアルがあります。
ITeens Lab(アイティーンズラボ)
- 特徴: 小中高生向けの次世代型ITスクール。プログラミングだけでなく、音楽制作、動画制作、デザインなど幅広いITスキルを学べる。オンラインで少人数制または個別指導。
- 対象年齢: 小3〜高3
- 学習形式: リアルタイム授業(少人数制/個別指導)、オンライン
- 料金: 入会金18,700円、月額15,800円~(週1コマ)
- Scratch以外: Unity、Python、JavaScript、3Dモデリング、動画制作、音楽制作、ITパスポート試験対策など
- ポイント: Scratchで基礎を学びつつ、多様なIT分野に触れられる点が特徴。個別指導や少人数制で手厚いサポートを受けたい子におすすめ。
Code Land by プロキッズ
- 特徴: お子さま専属の講師によるマンツーマン指導が特徴。ScratchからWeb開発、アプリ開発、Pythonなど本格的なコースまで対応。
- 対象年齢: 小1〜高3
- 学習形式: リアルタイム授業(マンツーマン)、オンライン
- 料金: 入会金なし(キャンペーンあり)、月額8,800円~
- Scratch以外: Web言語、アプリ開発、Pythonなど
- ポイント: マンツーマン指導で、お子さんの理解度や興味に合わせてきめ細やかな指導を受けられます。本格的なプログラミングスキルを身につけたい子におすすめ。
LITALICOワンダーオンライン
- 特徴: IT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」のオンライン版。子どもの興味・関心を大切にするオーダーメイドカリキュラムが特徴。ゲーム&アプリ、ロボット、3DCG、マインクラフトなど多様なコースを提供。
- 対象年齢: 年長〜高校生(コースによる)
- 学習形式: リアルタイム授業(少人数制)、オンライン
- 料金: 入会金16,500円~、月額22,000円~(1回あたり5,500円~)
- Scratch以外: ロボット、3DCG、マインクラフトなど
- ポイント: 個別最適な学びを重視しており、発達に特性のある子への指導実績も豊富です。子どもの「やりたい」を形にするサポートが手厚い点が魅力。
D-SCHOOLオンライン
- 特徴: マインクラフトや英語と組み合わせたコースなど、ユニークなカリキュラムが特徴。動画教材とミッション形式で楽しく学習。
- 対象年齢: 小1〜中3(推奨)
- 学習形式: 動画教材中心、オンライン
- 料金: 月額1,980円~
- Scratch以外: マインクラフト、英語など
- ポイント: 子どもが興味を持ちやすいゲームや英語と組み合わせることで、飽きずに続けやすい工夫がされています。リーズナブルな価格で始めたい方にもおすすめです。
CodeCampKIDS Online(コードキャンプキッズオンライン)
- 特徴: Scratchを使ったゲーム制作を中心に学ぶ。講師からの丁寧なフィードバックや、作品発表の機会がある。
- 対象年齢: 小3〜中3
- 学習形式: リアルタイム授業(少人数制)、オンライン
- 料金: 月額3,980円(税別)
- Scratch以外: なし(Scratchに特化)
- ポイント: Scratchでのゲーム制作に特化しており、作品発表を通じてプレゼンテーション能力も養えます。
おうちでコード
- 特徴: ママプログラマーが考案したカリキュラム。リアルタイムのオンライン授業で、その場で質問しながら学習を進められる。
- 対象年齢: 新小3〜中3
- 学習形式: リアルタイム授業(グループ/マンツーマン)、オンライン
- 料金: 月額4,400円~(グループ・隔週)
- Scratch以外: なし(Scratchに特化)
- ポイント: 子どもに寄り添った丁寧な指導が期待できます。リアルタイムで質問したい子におすすめ。
Z会プログラミング講座
- 特徴: 通信教育大手のZ会が提供。Scratchコースとレゴを使ったロボットコースがある。質の高い教材と丁寧な添削指導が特徴。
- 対象年齢: 小1〜小学生(推奨)
- 学習形式: 通信教育(教材中心)、オンライン(一部)
- 料金: 月額3,506円~(コースによる)
- Scratch以外: レゴ(ロボット)
- ポイント: リーズナブルな価格で、Z会ならではの質の高い教材とサポートを受けられます。自宅でじっくり学習したい子におすすめ。
進研ゼミ小学講座
- 特徴: タブレット学習「チャレンジタッチ」内でプログラミング学習が可能。教科と連携したカリキュラムで、プログラミング的思考を養う。
- 対象年齢: 小1〜小6
- 学習形式: タブレット教材中心、オンライン(一部)
- 料金: 月額2,980円~(12カ月一括払いの場合)
- Scratch以外: 主要5教科、英語など
- ポイント: 普段の教科学習と合わせてプログラミングを学べる点が特徴。追加料金なしで始められるため、手軽にプログラミングに触れさせたい方におすすめ。
スマイルゼミ
- 特徴: 専用タブレットで学習が完結。学年別のカリキュラムで、基礎から段階的に学べる。保護者向けの「みまもるネット」で学習状況を確認できる。
- 対象年齢: 小1〜小6
- 学習形式: タブレット教材中心、オンライン(一部)
- 料金: 月額2,980円~(12カ月一括払いの場合)、タブレット代別途必要
- Scratch以外: 主要5教科、英語など
- ポイント: タブレット一台で完結し、直感的な操作で学習できます。保護者が学習状況を把握しやすい機能も充実しています。

これらの教室以外にも、Scratchを扱っているオンライン教材や教室は多数あります。上記の情報を参考に、お子さんの興味や家庭の状況に合った教室をいくつかピックアップし、無料体験などを活用して比較検討することをおすすめします。
Scratch以外の教材との組み合わせ
Scratchはプログラミング学習の素晴らしい入り口ですが、Scratchで基礎を学んだ後、さらにステップアップしたいと考えるお子さんもいるでしょう。多くのオンライン教室では、Scratchの次に学ぶ教材やコースを用意しています。
- テキストプログラミング: Scratchでプログラミングの基本的な考え方(順次処理、繰り返し、条件分岐など)を理解したら、PythonやJavaScript、C#などのテキスト言語に挑戦することで、より複雑で高度なプログラムを作成できるようになります。Webサイトや本格的なアプリケーション開発に繋がります。
- ロボットプログラミング: レゴ®ブーストやmicro:bitなどのロボット教材とScratchを連携させることで、画面上のキャラクターだけでなく、実際のモノを動かすプログラミングを体験できます。物理的な動きを伴うため、より直感的で理解しやすい場合があります。
- ゲームエンジン: Unityなどのゲームエンジンを使うことで、Scratchよりも高度な2D/3Dゲーム開発が可能になります。プロのゲーム開発でも使われるツールに触れることで、より実践的なスキルが身につきます。
お子さんの興味がScratchから広がってきたら、次にどのような学習に進みたいかを話し合い、対応するコースがある教室を選ぶことも視野に入れましょう。
自宅学習の準備
オンラインプログラミング学習を始めるにあたって、いくつかの準備が必要です。
- パソコン: 多くのオンライン教材・教室では、WindowsまたはMacのパソコンが必要です。Scratch自体はChromebookでも利用可能ですが、教室によっては推奨環境が異なる場合があります。中古でも十分なスペックのパソコンを用意することで、費用を抑えることも可能です。メモリは8GB以上あると快適に動作しやすいでしょう。小学校から配布されるChromebookは、学校側で使用制限をかけている場合があり、プログラミング教室のソフトがインストールできないことがあるため注意が必要です。
- インターネット環境: オンライン授業や動画視聴には安定したインターネット接続が必須です。
- ヘッドセット/マイク・スピーカー: リアルタイム授業の場合、講師や他の生徒とスムーズにコミュニケーションを取るために必要です。
- Webカメラ: 講師がお子さんの様子を見たり、画面共有をしたりするために必要となる場合があります。
事前に必要な機材を確認し、準備しておきましょう。パソコン選びに迷う場合は、教室に相談してみるのも良いでしょう。
まとめ
小学校でのプログラミング教育必修化は、子どもたちがこれからの情報化社会を生き抜くために必要な「プログラミング的思考」や創造力を育むための重要な一歩です。Scratchは、その第一歩として非常に優れた教材であり、オンライン学習を活用することで、自宅にいながら質の高いプログラミング教育を受けることが可能です。
数あるオンラインScratch教材・教室の中からお子さんに最適なものを選ぶためには、お子さんの興味や目的に合ったカリキュラムか、学習スタイル(動画かリアルタイムか)、料金、対象年齢、そして教材や講師の質などを総合的に比較検討することが大切です。
この記事でご紹介した教室は、それぞれに特徴があります。ゲーム制作に特化した教室、多様なITスキルを学べる教室、手厚い個別指導が受けられる教室、リーズナフトラブルシューティングな価格で始められる教室など、お子さんの個性や家庭の状況に合わせて最適な選択肢が見つかるはずです。
迷ったときは、ぜひ複数の教室の無料体験や無料トライアルを活用してみてください。実際に体験することで、教材の雰囲気や講師との相性、お子さんの反応などを確認でき、より納得のいく選択ができるでしょう。プログラミング学習を通じて、お子さんの可能性を広げる一歩を踏み出しましょう。
